先日のマッチウィークが終わり私の所にも米国レジデンシーマッチの結果報告が届いています。喜ばしいことに私の知っている日本人の応募者は皆さんマッチが決まっているようです。

さて、マッチした人がいればしなかった人もいますね。アメリカの学生さんの場合、競争率の高い科で一度アンマッチになってしまうと次の年に希望の科でマッチできる確率はかなり低くなってしまいます。場合によっては他の科に進むことも珍しくありません。面接をする側もこの子は一度アンマッチだったけど何かあるのだろうかと勘ぐってしまい、その前評判を覆せるほどの応募者でなければ難しいです。

一方でIMGの場合はアンマッチそのものが珍しくないので2度3度と応募すること自体はそれほどマイナスな印象にはならないように思います。実際に3-4回またはそれ以上アンマッチになってようやくマッチにこぎつけたという人もいます。一度アンマッチになっても最後にポジションを得る人とそうでない人の違いを私なりに考えてみようと思います。

マッチしない人の特徴は、何も変えずに同じ応募書類を出し続ける人です。例えば働きながらマッチングに応募してアンマッチだったとしましょう。もう1年同じ職場に残って同じ仕事を続け論文も1本くらいは出したい。ただ仕事をしているので病院見学に行ったりする時間は取れない。英語は英会話スクールで頑張ります、と。これでは翌年もおそらくアンマッチになります。というのは、よほど有名紙にでも載っていない限り論文が1-2本増えてもそれほど応募書類の強さは変わらないからです。もちろん論文を1つも出していなければあった方がいいことに間違いはありません。ただ1本ある論文が2本になったところで大してインパクトはないのです。またFellowshipはまだしも、Residencyに関して言えばアメリカ国外での経験が1年増えたところで大したウリにはならないので (ないよりはあった方が話のネタにはなると思いますが)、日本での経験を増やすことがResidencyへの門戸を開くとは思わない方がいいでしょう。

逆にマッチしている人は自分の環境を変え、アプリケーションやコネクションを強くした人です。日本にいるのなら臨床留学を応援してくれる海軍病院などのプログラムに参加したり、数週間の病院見学に行きやすい環境にしておく、英語の論文を5-10本書き国際学会での発表も同じくらいする、などです。日本人に不足しているのは論文の数よりも英語でのコミュニケーション能力やコネクション、強い推薦状なので、どちらかというとこちらを中心に対処すると良い結果につながると思います。とりあえずアメリカに来てしまうというのも手で、お給料の出るResearch Fellowのポジションから始めてコネクションを作り臨床に入ってくる人は沢山います。ただ無償のポジションはお勧めしません。

マッチングに限らず、今の自分に何が足りずどうすれば次につながるのかをしっかり考えて行動に移せる人は強いですね。そして何がどう転がって未来の良いことにつながるのかはかなり後になってからしか分からないのでアンマッチでもそれほど気を落とさなくても良いと思います。もちろん言うは容易いですが。