長らくご無沙汰しております。最近よく日本でのLGBTQ問題や男女差別、外国人差別に関してSNSなどで見聞きして、ちょっともやっとした気持ちになったのでここでまとめてみようかなと思った次第です。なんだかね、差別を差別と認識していない人や差別と区別がごちゃ混ぜになってる人が多いなーって思ったのですよ。で、差別と区別の堺ってどこなのかな、と。

どこからが差別でどこからが区別かって、難しいのですよね。というのは、差別と区別の境界ってその時代の社会背景によって変わるから。昔は差別ではなかった多くのことは今は差別だし、今は区別として受け入れられていることも何年かすると差別と分類されるかもしれないですね。たとえば女性の選挙権や教育権。これが当たり前になったのは比較的近年の話で、当時は女性に選挙権がないことや高等教育を受けさせないのは差別でもなんでもなく当たり前のことだったのです。今では女性に選挙権がないなんて考えられません。

日本国憲法第14条の、”すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、 信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係に おいて、差別されない” は有名ですよね。日本だけでなく世界中でこれに似た条約や法律があります。ここに示されている差別してはいけない項目って、要するにその人が生まれ持ったものであり変えられない性質なのですよね。社会的身分は現在の仕事ということではなく両親や出生地、家柄など出生の身分です。信条に関しては環境によるところが大きく、自分の意思で簡単に変えられるものではないためここに含まれています。

最近、外国人は入店禁止という張り紙を出した飲食店が話題になっていました。これは差別に当たります。外国人という日本人以外の人種を指して入店を拒否するのは差別です。人種というのは生まれ持ったもので変えることができません。すぐに自分で変えられるドレスコードやマスク着用の有無とはわけが違います。ドレスコードのあるお店に行きたいならそのお店の指定する服装をすればいいのです。お店に選択権はありますが、客側にもそれを受け入れるかどうかの選択権があります。

そうするとこういう反応が来ます。外国人は日本語を話せないしマナーも守れないんだから店の迷惑だろう、と。それでは日本生まれ日本育ちで日本語が流暢、日本文化にも精通したアメリカ国籍の白人がいたとしましょう。この人は人種と国籍以外にそのレストランに入れない理由はないですね?人種や国籍以外の属性 (言語や現地の文化の理解度) がその外国人と一般の日本人とでまったく同じだったらと考えた時に、人種や国籍でサービスを変えるのは道徳的におかしいとほとんどの人が考えますよね?もし入店禁止の理由が客側のマナーであるならば、人種ではなくそのマナーを理由に断るべきです。日本人の客でもマナーの悪い人はいますからね。ちなみに日本の公用語は日本語なのでお店側に多言語でのメニューを用意したり日本語以外を話せる店員を配置する義務はまったくありません。コミュニケーションが取れず適切なサービスの提供が出来ないと判断した場合は入店を拒否して構いません。これも程度があるので多少日本語にアクセントがあることを理由にサービスの提供を断るのはどうかと思いますが。

じゃあレストランなどの年齢制限はどうでしょう?サービスの内容が未成年に適切でない場合は別として、それ以外のお店でも乳幼児や小児の入店を断るお店もありますね。これは人種ほど簡単な問題ではないですがOKと受け止める人が多いのではないでしょうか。なぜかというと、一般的に乳幼児や小児は自己コントロールがしにくい (長時間同じ席に座っているのが難しい、声の大きさを調整できないことがあるなど) という認識が共通かつ一般的に受け入れられており、またこの子達は年齢が進めば入店可能になるからです。

それじゃあレディースディやシニア割引は?男女で料金の違うサービスは?これは料金設定の問題でお店側に決定権があるので差別とは言えないでしょう。請求された金額を払えば同じサービスを受けることが出来るのでそれを受領するかどうかは利用者な訳です。差額が極端に大きすぎてどう考えても片方が支払えないような構造は差別と受け取られるかもしれませんが。

女性専用車両やホテルの女性専用フロアは?これはサービスとして提供されているので差別ではないですね。男女で入れる場所が違っていても交通機関や宿泊施設としてのサービスそのものは同じです。入浴、着替え、トイレなどが男女で別れていることも差別ではありませんよね。これは親しくない男女が特別な同意なくお互いの裸を見たり見られることが一般的に受け入れられていないためで、男女のプライバシーを守るためです。女性の方が保護される立場になりやすいのは女性が男性よりも性的消費の対象にされることが多いためです。